第八話『ホワイトレイヴン――white raven――』 「あァもう死ねあいツら」 わざわざ海を越え、到着した此処。ふと殺意を思い出し毒づく。 ひたすらにマイペースを貫きやがるし、Valkyrieは居ねえし、四幹部の壱(クイーン)のオオスバメの運んできた手紙を読んだ後に「あ、これとは関係ないけど仕事」って言い残して何処かへ飛んでいくってのはふざけてんのか。 あの師弟コンビを思い出すとイライラする。今なら動作の遅い、という理由だけでパソコンを壊せる気がする。あるいは衝動的にポケギアを叩きつけそうだ。 爪を噛みつつそんなことを考えながら、胸糞悪くなる程に清潔な白を基調とした内装の中で大理石の床を俺は歩く。 昼に飛んだとはいえ、流石に遠いので今は真夜中。最低限の照明が辺りを薄らと照らしている。つか、ネイティオであるアンリマユは飛ぶのが遅せえ。あいつらのピジョットとチルタリスを若干恨めしく思う。 ま、付き合いが長いからコイツはコイツで良いんだが。 「――ッ。アぁ?」 注意が散漫になっていたせいか、何かに躓いた。クソが。死ね。 何に躓いたのかと、柔らかい感触を右足に伝える物体を確認する。薄緑色の布地、結構デカイ。そして重い。 ……寝袋、か? その中からなんか人間とポケモンのらしき頭が見える。 しゃがみ込んでよく見てみる。……あぁ。人間の男とポケモン、確か、リーフィア、だったか。 何でこんな場所で寝てんだよ。通路だぞ此処。ホント死ね。 「あぁ〜ネフた〜ん。恥ずかしがる顔も素敵だよッ。さぁ脚を開い――ぐぇッ!」 ……。反射的に全力で蹴り飛ばしていた。鈍い音と共にゴロゴロと転がる変態。蹴られる瞬間にリーフィアを庇ったのはどういう反射だ。というかどういう寝言だ。 「ツツ。あれ、顔を赤らめて潤んだ瞳で僕を見つめていたネフたんは何処に」 「何時まデ寝惚ケてんだ。死ネ」 「あぁッネフたーん。寝起きの君も可愛いよーッ」 人の話なんざ聞く気の無い、変態。なんというか締まりの無い笑顔でリーフィアの黄緑の身体の頬擦りしてやがる。呟いてる言葉は聞きたくも無い。 一通りじゃれ合った後にようやく俺に振り返り、 「あ、その独特のイントネーションは高位戦士の弐(バーサーカーU)、薩摩 陸(サツマ リク)さんですね。お久しぶりです」 「ウるせえ死ね。つーか何でコんな場所で寝てンだよ。恵比寿川(エビスガワ)。てめぇ此処ノ担当じャねえだろ」 此処は亡霊騎士団(ファントムナイツ)と兵団(アーミー)の担当だ。騎士団(ナイツ)所属の騎士(ナイト)はキッサキの地下研究所担当だろ。 俺の言葉に目の前の男――エビスガワは目に掛かっていた黒髪を左右に掻き分け、抱きかかえたリーフィアにまた頬擦りしながら、 「あぁ、それでしたら、四幹部の壱(クイーン)の指示でキッサキの騎士(ナイト)三名と、此処の亡霊騎士(ファントムナイト)四名と騎士団長(ナイトリーダー)の二人、高位騎士の壱(プリンセス)と高位騎士の弐(パラディン)の配置が交換になったんですよ」 「あぁ? 聞イてねぇゾ、んなこと」 「夕方ごろにその指示はあったので……」 「フぅん。そウか」 俺より早く着いてるのは単純に空を飛ぶ速度の差か。それともポケモンのテレポートか。まぁ、んなことはどうでもいい。 しかし、配置換えか。つーことはアイツは此処には居ねえのか。どうでもいいが。 よし。寝る。うるさいのが居ないのは良いことだ。ああ。良い事だ。 歩き始める。後ろで変態が何か言っているが無視。死ね。 「「リッく〜ん。おっかえりなさ〜いッ」」 「――ッ。ぐ、ガッ」 首元と腹のあたりに衝撃。甲高い声が二重に聞こえたと思うとほぼ同時に、俺は後ろに吹き飛んだ。 目の前に光が明滅し一瞬呼吸が止まる。床に叩きつけられた後頭部と背中の痛みは、痛みを通り越して吐き気がしてきた。 「あらら。危ないと言ったんですが。ねぇ? ネフたんッ」 てめぇら全員死ね! と叫びたいが声が出ない。胸と腹辺りが重くて息苦しい。 どうにか右手を動かして腰のベルトに着けたボールの開閉スイッチを押す。次からはボールにロックはかけないことを心で誓う。 閃光が収束し、出てくるのはどこか遠くを見ているような目つきの、翼の派手な鳥――ネイティオのアンリマユ。それを若干霞んだ視界で確認し、 「アンリまユ。俺の上の馬鹿二人退かセ」 無言で頷き、先端が黒と赤に染まった白い両の翼を上――天井へと振り上げるアンリマユ。 軽くなる俺の身体。そして、 「「きゃっ」」 空中に浮かんでもがく馬鹿(女)二人。 一人は黒髪を二つにまとめ、白と青の妙にレースの多いヒラヒラとした上下を着た女――高位騎士の壱(プリンセス)越前 麻貴(エチゼン マキ)。 もう一人は肩にかかる程度の黒髪、短パンに黒の上着、足にはゴツいインラインスケートの女……女? まぁ性別は女か。別の言葉でならガキ――亡霊騎士(ファントムナイト)木之本 奏(キノモト カエデ)。 何でこの場に居る? 立ち上がり、浮かんだままの二人を睨みつつ、獣の爪のようなリングを着けた右手の人差し指をマキの額につきつけ、 「てめぇらはキッサキ行っタんじゃねエのかよ?」 「フニュ。えっと、お姉さまが明け方までは居て良いと言ってくれたので、リッくんに会ってから行こうかと思って、――」 「待ってたんだよ?」 一〇指の全てに甲冑の籠手みたいなアーマーリングを着けた手でスカートを押さえたまま、眠気を誘う間延びした口調で説明するマキと最後の言葉だけマキより先に言うカエデ。うるせえ死ね。 とりあえず、アンリマユに目配せして下ろさせる。 「それだけではなくてよ? アオイが高位騎士の弐(パラディン)の手伝いでまだ戻ってないのもありましてよ?」 「つまりは行きたくとも行けなかったというわけだ」 「あァ?」 いつの間に来たのか、先の二人よりも甲高い女の声と、低い男の声が響く。 ウザッたい口調の女……つかガキその二。足下すら隠すスカートを履いた、金色の長髪に紫と緑の左右で瞳の色の違う、白人――亡霊騎士(ファントムナイト) の咲季(サキ)。虹彩異色症(ヘテロクロミア)とか呼ばれるレアな人間らしい。マキが何も考えずに名前を考えた為恐ろしく似合わない名前となった。 Iron Maidenにも光(ヒカル)とかいう名前つけやがったし、どんなセンスしてやがんだ。 男の方は長身で短髪。その顔には火傷の跡。茶のコートを羽織り、その中には黒のタンクトップ、カーキ色のズボン履いている。肌の見える部分にもいたる所に火傷の跡。――亡霊騎士(ファントムナイト)染宿 誠治(センジュク セイジ)。 なんだこの暇人ども。Valkyrieやらダブルセブンやらを捜索中だよな今。死ね。生まれ変わって来い。 「ぴアスパンダは何シてんだ?」 「ピアスパンダって……高位騎士の弐(ナオト)さんのことでして?」 「他に誰ガ居んだよ。いっぺン死ね」 目元黒く化粧してパンダみたいになって、耳やら眉やら唇やらにジャラジャラとピアスしてんだから別にそう呼んでも良いだろ。 「彼でしたら此処に居ない亡霊騎士(アオイ)さんと、この施設の電子的な部分の壁の強化中ですよ。確か、日向(ヒュウガ)さんへの引継ぎも並列してやってるはずです。そうだよね〜ネフたん?」 「フニュ。研究員さんが逃げちゃたので情報の漏洩の危険性とかで此処の重要度は下から二番目になっちゃって、でもValkyrieの最終調整は此処じゃないとできないっていうムズムズする感じになってるの」 「うむ。わし達や騎士団長(ナイトリーダー)二人も離れるしな。四幹部の壱(クイーン)も離れたので実質此処の責任者は高位戦士(バーサーカー)たちになるのではないか?」 「でねでね。物理的な障壁として、研究員統括者(アルケミスト)が試作品(プロト)って呼んでるポケモンの入った生命維持槽っていうおっきい硝子の筒が設置されたんだよ?」 「わたくしは詳しく存じませんが、その試作品(プロト)というポケモンは念の力で大気を操作するそうですわ」 濁流のような言葉の奔流が俺を飲み込む。いっぺんに喋るな。 つか待て、 「オい。四幹部の壱(クイーン)居ねえノか?」 呼び戻した当人が居ないってどういうことだ、おい。 「うん。お姉さまは四幹部の参(ジェネラル)さんがホウエンから帰ってきたからデートだって」 「……。……ナんつうか、とてツもなく鬱だワ」 最後の、マキの答えを聞いて死にたくなった。死ぬ気はねえけど。 とてつもなく疲れる。あのふざけた師弟コンビと行動してるのと疲労度が変わんねえ気がするんだが。 明日からもっと疲れそうな気がする。寝よう。 そう思い、このふざけた空間を後に―― 「ひょっひょっひょっ。此処は学校か何かか? とか言いたくなるねえ。うるさいガキ共だ」 「ちょッ、いきなり何言ってんすかッ!?」 ――しようとしたら、こっちに向かい歩いてきた白衣を着たジジイと俺と同じくらいの身長で、青いエースキャップを被ったガキが大声で漫才を始めやがった。 ……ガキってのには俺も入ってんのか? 「何ですの? この方は」 「なんか見たことあるよーそのお爺さん」 突っかかって行くのはガキ二人。いや、サキの方は敵意剥き出しだがカエデの方は好奇心の方が強いか。 「全く。この天才の名前も知――」 「あぁ、その方はプルートさんですよ。ギンガ団幹部の。ね? ネッフた〜ん」 「あ、そうっす。四幹部の参(ジェネラル)さんの強奪(と)ってきた資料を取りに来たんす」 「……何故幹部が?」 「……ダークポケモンに関しての重要なデータだ。私が直接取りに来るのが一番だろうが。【出来損ない】はそんなこともわからんのか」 出来損ない。目の前のジジイの吐き捨てるように言ったその言葉がこの場の温度を下げたような錯覚。 なんつうか、軽く一触即発。 「その言葉。取り消していただけません?」 「僕もちょっとカチンときたよ」 低く抑えた声色で、そう言う二人(サキとカエデ)。その手が腰へと着けたモンスターボールに伸びる。 「遅いんだ。出来損ないが」 「「――ッ」」 「ちょッ。何してんすかッ」 ジジイは二人の動きよりも早く、右手は白衣の懐から拳銃を、左手は腰のボールのロックを外す。 右手の自動拳銃はサキを、ボールから現れたオレンジ色のポケモン――ロトムはカエデの背後で軽く放電し威嚇する。 「フニュ。サキちゃん、カエデちゃん……」 マキはただオロオロするばかり。てめぇ一応騎士団長(ナイトリーダー)だろうが。 エビスガワはリーフィアを抱き上げたまま苦笑。参加する気はねえ、と。そういうことか。 ジジイの傍の奴――多分に戦士(ウォーリア)はパニくってて使い物にはなりそうにない。 「……」 センジュクが無言のままコートのポケットへと右手を伸ばす。 仕方ない。アンリマユに目配せし、俺は俺で着込んだコートの懐中の自動拳銃に手を伸ばす。 「お前らもな。【出来損ない】に【無能】」 「ッ。ぐ……」 「チッ」 ジジイの左手が閃いたのは見えた。バチン、という放電音と共にセンジュクのでかい身体とアンリマユが倒れるのも見た。 ボールのロックを外した左手が滑らかに白衣の内側に向かい、俺に向かって拳銃を向ける動作も見えてはいた。 だが。身体の動きが伴なわないってのはホントに無能だな俺。死ね。 「まったく。資料どおりだな。年相応程度の身体能力のメスガキ二人に並以下の男が一人。そこの大男は身体能力は並の戦士(ウォーリア)程度はあるようだが、見えない右の死角を補う技量は無い」 二つの銃口は逸らさずに、「やれやれ」と軽く肩を竦めるジジイ。その周りをカエデの後ろに居るのとは違うロトム三匹が宙を舞う。 「出来損ない共はともかく、この程度の奴が【高位戦士(バーサーカー)】とは。能力的にはこの無能よりもお前の方が上じゃないか?」 「……へ? え、ハ?」 首だけを動かして戦士(ウォーリア)のガキに話しかけるジジイ。 「リッくんは無能なんかじゃありませんッ!」 俺がジジイの言葉に何か感想を思う間も無く、今の今までキョドッてたマキが声を張り上げた。そのまま腰に着けた黒球――ゴージャスボールへと手を伸ばす。 「こ、のバ――」 今のてめぇじゃロトムの電撃で沈むだけだろうが。 このバカ。止めろ。と言おうとしたが間に合わない。ジジイのロトムは既にマキの眼前にまで迫っている。 それを見てなお、マキは目を逸らすことも瞑ることもなく真っ直ぐ睨みつける。 バチバチとした放電音を響かせるオレンジの小さな身体。瞬きの一瞬でマキへと電撃を放てる間合いにまで近づいている。 が、次の一瞬でロトムは床へと叩きつけられた。 「え?」 「なッ!?」 第一声はマキ。眼を見開き、何故? という表情で振り返る。 マキの声に僅かに遅れたマキよりも驚いているジジイ。驚きすぎて此方に向いていた銃口はダラリと、床を狙っている。 ロトムを叩きつけたのは、二人の間を遮るように現れた、耳障りな羽音をさせたポケモン。円錐の、馬上鑓(ばじょうやり)のような両腕を持つ、巨大な蜂――スピアー。 「はぁい。ご苦労様なのだ、ピァス。だいじょぶだったー? マキちゃん」 そして、マキの背後、俺が歩いてきた方向から響く緊張感の欠片もない高い声。 ニタニタとした笑みを浮かべながらデコボココンビ、高位戦士の壱(バーサーカーT)――能登 玲月(ノト リョウゲツ)と高位戦士の参(バーサーカーV)――和泉 千里(イズミ チサト)の二人が此方に向かい歩いてきた。 ツカツカと、革靴(ローファー)を履いたチサトが俺達の前を通り過ぎ、ジジイの目の前までたどり着いた。まじまじとジジイの顔を覗き込み、 「キンジ。誰なのだ? このおじいちゃん。なんか大声で喚いてたけど」 ジジイの傍で突っ立ってた戦士(ウォーリア)へと質問した。 「この天才科学者の名を――」 「キ、ン、ジ?」 「え、えっとですね姐(あね)さんッ。この人は――」 「……あぁまぁ誰でも良いや」 そいつが答え終わる前に、チサトはジジイに向き直り、両腕を振るう。 ガゴン、という音と共に、周りに居たロトムが吹き飛んだ。その後ジジイに向けられたその両の腕(かいな)にはいつの間にやら鈍く輝く拳銃が握られている。 その銃は異様なシルエット。銃口のある前方部には肉叩きのハンマーみてえな突起の付いたマズルガードが、グリップエンドにはスパイクが付いた、鈍器としても使えるとかいうイロモノ二丁。 それを付きつけ、 「リクが無能とか言われるのは構わないんだけどさ、マキちゃんたちイジメないでくれない?」 「馴れ合いなど見たくないんだがな。虫唾が走る」 「それになによりも、キンジが高位戦士の弐(リク)より強いとか言っちゃうとさ、キンジが高位戦士の参(あたし)より上ってことになってしまうのだ」 それだけで殺せそうな鋭利な声色を、どうでもいい理由で出せるのは何なんだろうな。バカなのか。死ね。 「ギャハハハハッ! リクはまあ確かに身体能力はキンジ以下かもしれねえが、任務成功率は俺よりも高けえぜ!」 リョウゲツが馬鹿笑いしながらそう言うが、それは笑いながら言うことなのか? つうかうるせえ。死ね。 「はいはい。みなさんそれくらいにしましょうか。ほら、チサトさんも銃を下げて。ギンガ団と我らが【ホワイトレイヴン】は同志なんですから。仲良くとまでは言いませんがいがみ合うのは良くないですよ。ね? ネフたん?」 ボケ師弟コンビが来たことで拮抗した状態になったことを感じ取ったのか、今まで黙ってたエビスガワがまとめに入ってきた。 「ふん。まあいい。私は帰るぞ。そこの青帽子、さっさと案内しろ」 「あ、はいっす。じゃ、姐(あね)さんに師匠、皆さん、俺はこの人出口まで案内するんで」 ジジイは銃を仕舞い、サキの背後に居たのと転がってるロトムをボールに戻すと、さっさと歩き出す。それについていくキンジとか呼ばれてた戦士(ウォーリア)。 その姿が見えなくなると、 「なんなんですの? あの方はッ!」 「僕ってやっぱり弱いのかなぁ」 「ほらほら、そんなに俯(うつむ)かないでください。ネフたんもそう言ってますよ」 「わは。僕の桜華(おうか)とどっちが可愛いかな?」 「もちろんネフたんです」 「む、う……まだ痺れがとれん」 「ギャハハ。大丈夫か? センジュク」 「……というか、いつも思うけどキンジの方が年上なんだから姐(あね)さんはないのだ」 一斉に喚きだした。 一気に疲れた。本気で寝たい。 電撃喰らってまだ麻痺してるアンリマユをボールに戻し、今度こそこの場から離れる。 「あの、リッくん」 「アぁ?」 マキに呼び止められた。袖を掴むな。 「リッくんは無能なんかじゃないよ。あたしが保障するからッ」 「てメぇなんざに保障さレても意味ねぇよ。死ね」 まぁうれしいと言えばうれしいがな。……絶対に言わないが。 袖を掴まれたまま歩き出す。 「フニュ。いきなり歩かないで」 「ジゃあ袖ヲ離せ」 袖を掴んだまま一緒に付いて来るな。 「んふふ。やだー。あッそうだ、リング着けててくれたんだよねッ」 「うるせえ。死ね」 ああもう。無視だ無視。歩き続ける。 ……あぁそうだ。 「エビスガワッ! てめぇ何で此処で寝てたンだ! あとボケ師弟コンビ!! 何処行ってやガッた!!」 気になったので聞いてみる。いきなり大声出したからマキがなんかビクッと身体を竦ませたのが眼の端に写った。 「ああー。なんだか割り当てられた此処の部屋の閉塞感で死にそうになりまして。こっちに出てきました」 「電話で【クレイジー・クラウン】の方のあたし達にお仕事の依頼があってねー! 上納金パクッて逃げたヤクザ屋さん殺してたのだ!!」 「そウかッ! まとめて死ねッ!!」 ああ、すっきりした。これでぐっすり眠れる。 「つうかなに付イて来てんだよ。てめぇは今夜中に此処飛んでクんだろうが」 「うーん。リッくんと一緒に寝てから行こうかなぁ」 「ふザけんな。本気で死ね」 真顔で言うな。……笑うな。抱きつくなッ! ……俺の顔赤くなってねえよな?
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