Episode9 「森へ」



ハクタイの森。通称迷いの森と呼ばれ、天然の迷路として有名である。
ソノオとハクタイをつなぐ道にこれでもかと悠然と存在するこの森は、ジム制覇をするトレーナーは勿論シンオウを旅する人々にとって、避けては通れない難関として知られている。
そしてこの森のソノオ側の入り口にて、リルアとシェイミがその大きさを改めて実感している所であった。

「二度目とはいえ、流石に大きいわねぇ。まぁ一週間ずっと歩いていたから迷う心配はないだろうけど」
(この森を一週間も!? 凄いです……)

そんな会話をしながら、彼女たちは改めて森へと入っていく。
結局数日かけてソノオの花畑を捜索したのだが、シェイミのペンダントは見つからずじまいであった。
恐らく例の少年、レンが持って行ったのだろうというリルアの推理もあってようやくシェイミが諦めてくれたのが昨日の夕方頃。
そして今日の朝いちでソノオを出、現在この森まで来たという訳だ。

「まぁハクタイに抜けるだけなら、最短で今日の夕方ぐらいでしょうね。あくまで最短でって意味だけど」

そうリルアは言葉を濁す。彼女曰く、例のレンという少年がこの森で待ち伏せていることもあり得るという事らしく、思わずシェイミは若干体を震わせた。
無論これはあくまで予想の範囲内なので本当にいるという訳でもないのだが、常に最悪の事態を想定した方がよいというのがリルアの意見である。

「さぁ、覚悟決めて行きましょうか」

ニッコリと笑い、軽快な足取りで進むリルア。それを追いかけるように、シェイミも森の中へと入っていくのであった。



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一方森の奥深くにて待ち伏せるある一行が。例の少年とその仲間(?)、レンとスイクンであった。
リルアの予想通り、彼らはここにシェイミが戻ってくるだろうと想定して、待ち伏せをしているのだ。
ちなみにここで待ち伏せようと提案したのはスイクン。彼曰くシェイミは何かを探していそうだから、必ずこの付近に戻ってくるはずだという。……流石伝説のポケモン、観察眼も鋭いことで。
だがレンは最初、この提案に反対した。わざわざ襲われた場所の近くに来るとは到底思えない、だったら別の所を探した方がいいのではないだろうか……と。確かに、レンの意見ももっともである。
しかしスイクンには自分の考えが正しいと思える物的証拠があった。それが……。

「……そのペンダント、本当にシェイミの物なのかな?」

スイクンの尾に乗っている花をかたどったペンダントを見て、レンは疑問をぶつける。それは確かに、シェイミが探しているあのペンダントであった。
スイクンはゆっくりとペンダントを懐にしまい、ゆっくりとこう続けた。

(……本人に会って聞くのが、一番早い)

もっともな答えに、思わずレンも苦笑いを漏らした。



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その頃リルアとシェイミはというと……?


(……あのぉ、ここは一体どこですか?)
「…………。ハクタイの森の中であると言うことは、確かね!」
(そんな事は分かっているですーーーー!!)


完全に、迷っていた。


〜to be continued〜

 


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