Episode17 「街へ」



翌日…やっと森を抜けることに成功したシュン一行。すでにズタボロであったが、その表情はとても晴々としていた。

「あぁ、日光がこんなにありがたいものだったなんて……なんかとっても清々しいやぁ……」

……どうやらまた迷っていたようであるが、どんな状況でも出口に辿り着いたという達成感は、いかなる疲れをも吹き飛ばすものである。
まぁ流石のリューンも度重なる戦闘で途中バタンキューとなって目をグルグル渦巻きにしてしまうハプニングもあったが、結局最後までついてきたリーフィアのおかげもあって何とかここまでこれたのであった。

「なぁリーフィア、流石にもうそろそろこのままの関係は続けられないから……君を捕獲してもいいかな?」

足元で少々傷だらけのリーフィアに聞くシュン。リーフィアもなかば呆れるような感じではあったものの、小さく「フィィ」と鳴き体を擦りよせた。どうやら肯定の意味らしい。
シュンはズボンのポケットからボールを取り出し、リーフィアの体にコツっと当てる。ボールが開いたと同時にリーフィアはすぅっと中に入っていく。数秒ボールが揺れ、すぐにおさまる。捕獲完了のサインである。
シュンは小さく微笑むと、そのボールをベルトに装着する。少し重みの増したベルトを感じ、また微かに微笑んだ。

「……そういやシェイミのやつ、本当に一匹だけで大丈夫なのかなぁ?」

実はシュン、シェイミとは夜目覚めたときにそのまま別れてしまっていたのだ。
以下回想シーン。



「なぁ、本当に大丈夫? 真夜中に一匹だけっていうのは……」

深夜、ようやく目が覚めた一行はすぐに森を出るため準備をしているところであった。
リューンとリーフィアに傷薬代わりのオレンの実を食べさせてあげながら、シェイミに聞く。シェイミはモモンの実を平らげた後、体を伸ばして準備運動をしているようだ。

(はい、絶対皆さんに迷惑かけていると思うので……そろそろ帰ろうと思います。もう、シュンさんとは会えないかもしれないけど……)
「そっか。話せるんなら最初から話してほしかったけど……まぁいっか」

シュンはゆっくり立ち上がる。リューンとリーフィアも既に体力が回復したのか立ち上がっている。もう長居する理由がないので、シェイミの出発を止める理由もない。

「縁があったらまた会おうな」
『……カゲ』

最後に一言リューンが何か言ったようであるが人であるシュンは分かるはずもなく。ただシェイミには伝わったのだろう、ニッコリと微笑んでそのまま茂みの中へと消えてしまったのだった。




……はい、回想終了。
シュンとしてはシェイミと一緒に旅をしたかったのであるが、先客がいるのであれば仕方がない。リーフィアという心強い仲間も出来たので、ひとまず先を急ぐのであった。

「……あ、リーフィアのニックネーム考えとかないとなぁ……ん〜シップウマルとか?? なんか違うなぁ……え〜っと……」

……どうやらシュン君、ネーミングセンスが若干捻じれているようである……。



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「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? ユウレイィィィィィ!!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!! イタイイタイ肺がつぶれる〜!?」

一方リルア、レント組はというと、とある廃邸にてちょっとしたハプニング。銅像を幽霊と間違えたリルアが、全力のベアハッグ(胸辺り)をレントにお見舞いしているところであった。

『キシシ、助けないのか?』
『……どう助けろと?』

ドクロッグとスイクンはその惨劇を遠くからみているだけ。……下手に手を出せば、自分たちに流れ弾が飛んでくると知って、酷く言うと彼を見捨てたのである。
レントは段々とその顔を青ざめていき、最後には完全に墜ちたのだろう、ガクっと気を失うのであった。……命そのものがなくなった可能性も……。

「いやぁぁぁぁぁ!? あそこ何か動いたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

なおも強力なベアハッグをし続けるリルア。……スイクンとドクロッグは、心の中でレントの冥福を祈ったそうな……。




遠くの方から悲痛な叫びが聞こえてくる。そのおかげで比較的迷うことなく彼女達がいる廃邸に到着することが出来たシェイミであったが……どうしても中に入ることが出来ない。
あの屈強なリルアがここまで怯えるものが想像できなくて、どうしても尻すぼみしてしまうのだ。

『うぅ……怖い…よぅ……』

再び聞こえる悲鳴。中で悲劇が行われているということも知らず、シェイミはただただ怯えるのみであった……。




〜to be Next Stage〜


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