《7》

異変に気付いたのは街の子供だった。煤に塗れた顔の少年は、「空に蛇がいるよ!」と言って鉄塔の方を指差していた。
焼け 野原となった街でトクサネからの救助を待ち続けている住民たちは街と家を失った悲しみに打ちひしがれていた理由もあってか、
子供の戯言に聞き流そ うとしていた。だが、試しに少年の指差す方向に目を向けた時、その言葉が嘘でない事にやっと気付いた。
早朝の7時の事だった。「空の蛇」の出現個 所はいうまでもなく、北東の搭だった。
朝焼けの薄い赤色と青い空の中にぽっかりとうかぶ鉄塔が太陽の光を浴びて、くっきりとした輪郭で映し出され る。
その搭の頂上で、少年の言うとおり緑色の蛇が一瞬だけ高く舞い上がり、しなやかに身体をくねらせて再び頂上に身を落とす。

テ ントに野宿していた補佐員達は街の住民の為に、カクタス号から持ち出した食料で朝食をしていたが、突然の住民たちのざわめきと
搭の異変に唖然とし ていた。碧竜の姿に、顎が外れそうなぐらいの大口を開けて焔を吐き、また倒れ伏している。遠目だが、さっきからその繰り返しだった。
自由に飛び立 とうとする事が出来ないらしい。竜は必死に何かを叫んでいるように見えるが、ここでは遠すぎて全く見えない。

皆がその光景に釘づけになっ ている中、最初に見つけた少年はぽつりと口に出す。

「何だか、辛そうだね」



屋上の扉にかけられて いたロックは解除されていて、防御システムを心配することなくメリーはすんなりと頂上の空気を吸えた。
至る所に入っている亀裂は塔の老朽を物語っ ていた。すっかり太陽も昇り、最初に見たキナギの廃墟も5階分の階層を登れば見下ろす所にいる。
体力には自信のある方ではなく、すこし風景を眺め ながら肩での呼吸を抑えようとしたが、突然の轟音と地揺れに身が縮む思いをした。
やっぱり間近になるとレックウザの叫び声は耳に悪い。メリーは出 口から右手にあるちょっとした階段を駆け上る。そして見た。

「こ、これが…」

翡翠色の鱗に赤色の瞳、一瞬あの少女が 連れてたミロカロスの瞳と重なるものがあったが、メリーはそれをすぐに否定した。
荘厳な竜は、今までスカイ団が扱ってきた鳥系・竜系のとは大きさ も品格も段違いである。
こんな竜がこの世に存在するのか、目の当たりにしているこれは夢か?そのような錯覚に陥るほどの魅了される姿をしていた。
初 めてこの竜が眠っている姿をゼウムが見た時、確かにこれは大空に舞い上がってほしい、自分が彼の立場だったとしてもそれを願っていたに違いない。

だ が、目の前に映るその竜は合金されたような特殊な色をした金属の鎖に縛られ、自由を奪われている。
眠りから覚ましたのは成功したとして、その後暴 れられて逃げられたら元も子もない。予めこのように縛り付けてから竜を起こしたのだろう。
犯人の目星はついていた。と、考えているうちにレックウ ザの目が自分と合う。息をのんだ。奴の瞳は人間や並みのポケモンとは違っていた。
色彩も瞳孔も見えず、闇のように黒い瞳の中にネオンのような赤い 閃光が特殊な紋様を描き、光っている。太古の印象を与えた。
メリーが腰のベルトに備え付けられたギャラドスのボールに手をつけたその瞬間を狙っ て、相手は口を開いた。メリーの霊感が危険を察知し、一歩下がれと命じた。
着地地点がさっき登った階段の手前だったので危うく後ろに倒れそうにな るが、そんなことはどうでもよかった。
口から灼熱の焔が吐きだされ、凄まじい光に目が眩む。焼死は免れたが、自慢の金髪だけ少し焦げてしまった。

攻 撃を外したレックウザは相当怒っているのか、天を仰いで真っ赤な花火を再び吐く。拘束をよほど嫌っているのか、鎖を引きちぎろうと足掻き、
屋上の フロアは固定された鎖に無理な力が加わり、床ごと外れそうになってミシミシと音を立てている。おまけにこの古い建物ではいつ崩壊してもおかしくない。
吹 き抜けの空間は屋上で蓋をされており、メリーとレックウザの位置から真下には奈落の底へと続く縦穴が続いている。薄氷を踏むとはこの事をいうのか。

レッ クウザの鎖をどうにか外したいのだが、近くに寄る事もできず飛行ポケモンも持ち合わせていないメリーには成す術もなかった。
爪を噛みながら様子を うかがっているとレックウザの動きがぴたりと止まり、はるか上空の方に何かを見つけたようだ。そして再び、狂うように咆哮する。
何事かと空を見上 げると、綿雲の隙間から翼のついた爬虫類の影が少しずつ大きくなってくる光景が目にとまった。
すぐにメリーはボールを開け放ち、ギャラドスを屋上 のフロアに開放する。降りてくるのはボーマンダだった。そして誰がその上に乗っているのかメリーは知っていた。

ボーマンダは非常に獰猛で 攻撃的な性格だがやや小柄だというのが球に傷である。強靭な牙と爪の餌食にされた者はその竜の威嚇に気圧されて
再び立ち上がれなくなる。竜系のポ ケモンの中では最強の類と呼ばれているが、使い魔がそれを使いこなし、乗りこなすに相当長い時間を要するという。
レックウザは再び焔を吐き、ボー マンダと乗っている男を狙ったがトンボのように宙返りし、いとも簡単にかわしてしまう。
そしてそのまま華麗に宙返りし、メリーの近くにボーマンダ と同じ黒装束の男は着地してにこやかに笑う。メリーは警戒を解かなかった。

「ふぅ、危ない危ない」

スカイ団において ゼウム直属の竜使い、ハルス部隊長だった。竜使いという名前だけに相当な精神を持ち合わせた人間かと思っていたが、
その理想像はこの男によって完 全に打ち消される。この男こそが全ての元凶、黒幕である。

「ん、メリーか。お前がここにいるという事は、扉の解除がされちまったって 事だな?ネルファはしくじったのか」

使えない奴だ―― と、ハルスがぼそりと付け足し、細い指を振るう。
ボーマンダは鋭利に尖っ た羽を大きく広げ、剛毅で鋭い眼が獲物を狙う。四肢がゆっくりとギャラドスとメリーの居る所へ
距離を詰めてくる。もう一歩下がらないと一撃で押さ れてしまう。次の瞬間、ハルスが悪意に満ちた表情で小さく言う。

「潰せ」

ボーマンダの全身から何かの光が集められ る、特殊技を発する時のみに起こるあれだ。
遥か上空で風を切る口笛のような高い周波の波が少しずつ低く、そして大きくなっていく。まだ寒いが、冷 や汗が流れた。
そんな音が耳に届き、それと同時にフロアに不気味な影が大きくなっていった。
メリーは上を見上げると、紛れもなく無数の大 岩であった。(こんな塔の頂上でどうやって岩なだれ出現させたのかはよく分からないが)
技の中でも岩属性はギャラドスにとって最も忌み嫌うタイプ であるのは明らかだ。今まで何人ものトレーナーとの戦いを繰り返してきたが、岩系ポケモンの使い手と
戦った時はまさしく諸刃の剣であった。ギャラ ドスのタイプと弱点と相手のタイプと弱点が双方共通しているのが大きな理由である。
そうなると戦いはどちらが先手でどちらが後手になるか、それだ けで勝敗が決まる。いままで負け続けた相手に今日は勝った。雑魚相手に連敗する。
そんな戦歴がギャラドスにあった。その百戦錬磨のギャラドスはす ぐに身を呈して長い身体を駆使してメリーを庇うが、自身の防御はままならず、落石を喰らってしまった。
効果は抜群…だが、その痛々しさは表しよう がない。今回は不利な方に回ってしまったのだ。
気がつくと、メリーの上に居る竜は力をなくした様に反動が無くなり、何とか這い出てギャラドスの顔 の所へメリーは歩み寄るが、水竜は今の攻撃に相当衰弱していた。

「ギャラドスッ!」

名を呼んだが、結果は空しかっ た。背後でハルスが笑っているのが目の毒である。まだ完全に気絶している訳ではないが、喰らった傷は相当に大きい。
岩なだれの威力をまだなめてか かっていた、とメリーは悔んだ。ボーマンダは再び前進を輝かせ、力を結集させている。

「そおらもう一丁!」

二発目の 攻撃をハルスがけしかけ、再び上空に無数の大岩が姿を晒す。とその時ギャラドスの少し上空に何かが飛んだ。
庇われてよくは見えないが同じ潤いを 持った綺麗な蛇だった。放物線を描き、吸い込まれるようにボーマンダの小柄な身体へと飛び込む。
一瞬威厳に満ちたボーマンダの顔から集中の糸が切 れたようにぽかんとした顔をするがミロカロスの飛び込みと体当たりにボーマンダは顔を叩きつけられた。
その光景にメリーは安心した様に少しにやっ と笑った。窮屈なギャラドスの『とぐろ』の中で彼女はモンスターボールを出し、光と共に瀕死寸前のギャラドスを仕舞う。

ミロカロスの体当 たりによってボーマンダの技の射程にずれが生じる。バランスを崩した竜の岩は少し軌跡を変えた。

―― まずい

メリーは腰 にボールを装着しながら心の中で呻いた。岩なだれは鎖で繋がれたレックウザの真上に鈍い音を立てて落ちたのだった。
2回も岩なだれを喰らっておい てよく屋上のフロアが抜けおちないものだ。意外とこの鉄塔は頑丈な造りになっているのかもしれない。
しかし、そのフロアと岩の間に挟まれた太古ポ ケモンは少し危険だった。薄い氷の上に鉛の鉄球を投げ込むのと大差なかった。
ハルスの肝も流石に冷えたのか、目を丸くしてレックウザを眺める。ミ ロカロスはその場で素早く、ボーマンダの爪による反撃をひょいとかわし、
屋上の端っこで茫然とレックウザを眺めるシィラのすぐそばまでジャンプし た。メリーもすぐに彼女の元へ駆け寄ったが、シィラの反応が今一つ鈍い。
最初にメリーがレックウザを目の当たりにした時と同じような反応を彼女は 取っていた。…きっと誰でもそうなのであろうとメリーは思った。

「こ、これが…?」

疑問符つきの少女の発言は5分前 のメリーのものと全く同じだった。
靄が立ち込め、無数の岩の中が散らかるそんな場の中で、レックウザは石化でもしたように静かにたたずんでいた。
最 初に見た闇のような黒い瞳の中には、赤い紋様は見受けられなかった。衝撃で死んだのではないかと、その場に居た3人はそう思った…が

…そ れは嵐の前の静けさという奴だ。

レックウザの目の中の文様は突然どす黒い血のような赤に輝きだし、鼓膜を破るぐらいの慟哭をあげた。メ リーとシィラは耳を塞ぐ。
その咆哮が終わる前に、レックウザの翡翠の体表は焔のように真っ赤に染まり、全身から焔を出す。さっきよりも何乗にも熱 く、この距離でも熱気が伝わってくる。
縛っていた鎖は一瞬のうちに溶かされ、どろりとフロアに垂れる。非常に危険な状態が迫っているのは明白だっ た。

「キャァッ!?」
「まずい、『逆鱗』に触れたわっ!」

レックウザは焔をまとった尻尾を鞭のように振 り回し、屋上北側の壁目掛けて振う。一瞬にして壁はがらがらと崩れ落ちる。
これを目にしたボーマンダは、身の危険を察知して翼をばたつかせて小鳥 のように広い空へと逃避してしまった。
ハルスが必死に呼びとめたが、死の淵が迫った状態では竜と人間との主従関係はあっさりと切れてしまった。
竜 使いといえど、人の道に外れた行いをしてきた者たちのポケモンは最初から主人を信頼することなどあり得ない事だった。
無防備になったハルスを睨み つけた逆鱗状態のレックウザは口をゆっくりと開けて息を吸い込む。

「ヒ…」

焔の息吹は裁きを下すようにハルスに襲い かかる。

「シィラちゃん!駄目っ…」

咄嗟にメリーはシィラの前に出てレックウザを背に抱きかかえるたので何が起きた のか見えなかったが。
胸の中、瞼の裏で赤い光が目の前全てを染め上げ、轟音の奥で断末摩の叫びが空しくこだました。
メリーがシィラを離し た身体から話した時、屋上のフロアにはまた焔が消えずに残っていて、凄まじい熱気が立ち込めている。
中央では未だに焔を全身に集めているレックウ ザの豹変した姿があった。焔の息吹に巻き込まれたハルスは消し炭にされて骨のかけらも残らなかった。
レックウザの異様な瞳は次はシィラとメリー、 ミロカロスを捕らえている。

すかさずシィラとミロカロスは前に歩み出る。メリーが逃げようと手を伸ばそうとするが、振り払われてしまっ た。
レックウザは飛び上がり、低い空を浮かんでいる。このまま放っておけば、怒りに理性を完全に失ったレックウザは大陸を灰にしかねない。
目 の当たりにする惨劇からしてそんな事が今のこいつにはできる―― だがそんな凄まじい力の源に誰が立ち向かえる?
少し高い角度にいるレックウザは 再び雄叫びをあげる。身体の芯まで共鳴しそうな威嚇に、今度は耳鳴りと立ち眩みまでしてきた。
舞い上がった竜から焔が吐かれ、容赦なく2人の頭上 を赤く染め上げる。防御の指示を出そうとギャラドスを呼ぼうとするが、
間に合わない。――心の中で経を唱えようとした時、メリーの真横から水音と 素早く踏み切る足音が同時に聞こえた。
広範囲の津波が頭上に撒かれ、焔を受け止めて落ちる前に蒸発し、湯気が立ち込める。ミロカロスの波乗りがな かったらハルスの後を追っていただろう。

竜は今の波乗りによって更に怒りを覚えたのか、焔をより激しくあげて再び大文字焼きの術を放つ。
シィ ラはただ無言でその焔を前にしても微動だにせず、ただじっと構えていた。自信のなさそうな風貌に移っていたメリーからすれば
それは斬新な光景だっ たろう。ミロカロスは今朝に入って3発目の波乗りを放つ。敵も今度は威力を上げてきたのか焔は相殺されず、
靄の中で2,3本の細い火柱となって飛 んでくる。それでも彼女はその場を離れようとしない。

「無茶よ!」
「ここで止めなきゃ…」

レックウザは 屋上の空間から飛び立ち、天球の中をめぐる星のように飛び、時折流星のような焔を狂ったように吐き続ける。
それを見定めてミロカロスはその度に的 を絞った津波を放ち続ける。なぜさっきから波乗りしか打たないのか、メリーには謎だった。
焔と水の相殺は十数発にも及び、消耗はミロカロスの方が 大きい。そしてレックウザの逆鱗は底を中々見せない。
ついにミロカロスは十数発の波乗りを出すと流石に体表も干からび始め、風邪を引いたようにか らからな咳をし始めていた。
フロアは水で浸され、地面に張られたモノクロの鏡のように映る。昇った日がついに鉄塔のラインを越えて一面に反射し、 眩くなる。
不思議な絶景だった。並の者なら太古の竜が目の前に暴れられたら逃げ出すか腰を抜かすのどちらかしかないはずなのに。
逆境に強 い人は稀に存在すると聞くが、生で見た事はメリーになかった。シィラはふらふらのミロカロスに歩み寄った。

何を話したかはこの位置では聞 こえない。
だが、空ろになったミロカロスの赤い瞳は再び磨製して純度をあげたガーネットのように輝きを取り戻し
津波を出そうと再び口に水 を集め始める。きっと彼女には相手を奮い立たせる才能があるのだろうとメリーは少し彼女に羨望した。

「これで終わりよ!波乗 りぃっ!」

最後の一発はレックウザよりも幾分か早く、そして瀕死寸前とは到底思えない程の威力を取り戻し周囲に居た者を唖然とさせる。

滝 の落ちる水音と同時にレックウザの体表に纏われた焔は完全に消え去り、しばらく静寂が流れた。
太陽の明かりで冷え切っていた空気はこの時だけ温く なり、立ち込めた靄は風に吹き散らされる。太古の竜の瞳は完全な闇が包み込み、
特徴的な紋様の光は今にも消え入りそうである。
力を全て使 い果たしたレックウザは空を仰いでいた。すじ雲が遥か高い空の中で偏西風に身を任せて流れている。
遥か昔――自由の象徴とされてきた竜にとっては 空が故郷だった。そんな風にシィラの想像からそんな映像が浮かんだ。
小刻みに震える首は大空を舞う事への未練を醸しだしている。少し時間を経て竜 は、重力に身を委ね、鉄塔のフロアに倒れた。

その時、竜の紋様の瞳は一瞬だけ彼女の瞳と重なった時、わずかに緩んだが微笑んでいるかのよ うに見えた。
竜は再び眠りについた。怒りに我を失って世界を焼き尽くす結果でもない、ゼウムの臨みどおり大空に解放される結果でもない。
強 いて云うなら、眠る場所が地下から搭の屋上に変わっただけで結局は眠ることに変わりはないのだ。

「…」

ミロカロスと シィラが沈黙をずっと守る中、再び冷たい風が吹き付けた。
メリーが水で浸された床をぴちゃぴちゃと歩きながらシィラの背後に回り、すっと肩を優し く触れた。

「メリー…さん?」
「大丈夫、これでレックウザは再び眠ったわ。貴方って本当にすごいトレーナーね」

後 ろを振り返るといつもの優しい笑顔のメリーだった。
普通の少年なら、強敵にあたるジムリーダーにでも勝てば思いっきり喜ぶだろう。
童心の ままに跳ね上がって、与えられたバッジを自慢するのが普通なのかもしれない。けれど、この死闘は…
さほど嬉しい結果をもたらすようには見えなかっ た。理屈では勝っても勝利ではない―― そんな矛盾したもので入り乱れていた。

急に空から大きな鳥の影が東の方から太陽を背に飛んでく る。
シィラが地下で見た胸板の大きい黒い鳥のシルエットが数分前の記憶を呼び覚ましてくれた。

「あら?ギストだわ。態々迎え に来てくれるなんて。でもあのドンカラスで2人も運べるかな?」

メリーが額に手を翳してにこやかに冗談を言ってみせる。シィラもそれに ふっと笑みを浮かべた。

「これで終わったんですよね?本当に」
「ええ」

朝の日差しが柔らかく二人を包ん だ。ギストのドンカラスはメリーの冗談通り、キナギまで3人を運ぶのに相当手間を取った。
既に彼は一足先にキナギのホウエン警察隊にネルファの身 柄を預けていたのである。そしてその足で再び鉄塔に加勢しようと
戻ったのはよかったが、もうシィラとメリーが決着をつけていた―― との事だっ た。
最も、冷え込む早朝にアジトに潜入してレックウザを鎮めるまでの時間がわずか1時間半にしかならなったのが未だに信じられない事実だった。

そ の後、シィラは補佐隊に入った時からずっと一緒だった仲間達と半日ぶりの再会を果たしてから、ずっと矢のように早い時間を過ごしていた。
あっとい う間でやけにあっけないものだが不思議と悪くはなかった。


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