Episode2 「田舎道での珍道中?」




シゲユキと別れて二日ほど経ったお昼時。今日もマサゴタウン近辺は清々しく晴れ渡って……

「だぁぁぁぁぁぁぁ!!! 何で捕まえられないんだよチクショォォォォ!!」

……いる中、爆睡しているビッパすら逃げ出すようなシュンの叫び声。近所迷惑もいいところである。
カメラをシュンに向けてみると……あぁ、どうやら野生のポケモンを捕まえられず、頭がオーバーヒートしているようである。足もとにいるリューンも、やれやれといった表情をしている。

ここで補足説明。通常トレーナーが手持ちを増やす最も一般的かつ現実的な方法として、道路や洞窟、場合によっては街中などで暮らす野生、野良ポケモンを捕獲するという方法がある。
無論素手で捕まえるわけではなく専用の道具が必要とされ、それが一般的に『ボール』と呼ばれる類のものである。
元々ポケモン、正式名称ポケットモンスターは遥か昔から存在していたと言われているが、ボールと呼ばれる道具が開発され捕獲されるようになったのは、歴史的にみてもそれほど昔のことではないのである。
どういう原理で手のひらサイズのボールと呼ばれる道具に大きいポケモンでは数十メートルのサイズの生物が入るのかという説明をすると、とにかくえらく時間がかかってしまうので……一言で終わらせよう。


な る も の は 、 な る 。


……分かる人には分かる終わらせかた。ひょっとしたら間違ってるかもしれんけど。
まぁ小難しい話はとりあえず置いといて、要するにシュン君は何度も捕獲に失敗してヒィヒィ言っているということだ(笑)
「(笑)じゃねぇよナレーター!!」
あはははは……とまぁお遊びはこれぐらいにして、こっからは真面目に書いていきますよ。
『カゲゲ……(やれやれ……)』



「あ〜もう、何だって捕まえれないかなぁ」
先ほどから数十メートル程離れた、街道からちょっと離れた場所にて。
護身用にとヒカリからもらったモンスターボール(最も安価なボール。無論性能も値段と比例している)をすべて使用していまい、溜息をついているシュン。足もとにいるリューンも疲れているのか、ちょっとげんなりしている。
ボールの捕獲機能も、万能というわけではない。一応それなりの強度はあるものの、内部から攻撃をされれば簡単に破壊、もしくは脱出されてしまうのだ。
それをさせない為の方法は、無論暴れられないまでに衰弱させること。故にこちらも手持ちのポケモンを出して戦闘し、相手にダメージを与えて捕獲する……というプロセスを経て、初めてポケモンを捕獲することが出来るのだ。

無論シュンもその事は知っていたたため、リューンと共に頑張ってたのだが……シュンの経験不足か、あと一歩で逃げられたり、逆に間違えて倒してしまったりなどなど……。
まだ手持ちは一匹しかいないので必然的にすべての戦闘をこなす羽目になったリューンは、顔には出していないものの既に満身創痍という状態なのだ。
「リューン、疲れたんじゃない? 大丈夫?」
そう言って頭を撫でようとするシュンであったが、リューンはそれをパッと払いのける。今までは触ろうとしたらすぐに炎で反撃するはずなのだが、今日はそれをしなかった。
その動作で、シュンはあることに気がついた。
「会った時から思ってたけど、リューンって俺に懐いていないとかじゃなくて、ただ単にプライドが高いだけなの?」
そう聞くと、リューンはさっとこちらを睨んだあと、また違う方に向いてしまう。何となくであるが、そのようである。
シュンは苦笑したあと、半ば無理やり頭を撫でてあげる。リューンは嫌そうにしながらも、先程のように払いのけることはしなかったそうな。


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「もぉ〜一体どこにいるのよぉ〜。もう足パンパンだよぉ……」
マサゴタウンから若干離れた、通称ハクタイの森と呼ばれる場所。使い込まれたようにボロボロな迷彩服を着込んでいる緑色の瞳をした少女が、フラフラと入口に座り込んでしまう。
背中に背負っているバックは何も入っていないらしく萎んでおり、頭に巻いているピンクのバンダナもそこからはみ出ている金色の長いポニーテイルも、何とも言えない色に淀んでいる。
特別綺麗とは言えないが、それでもなかなか整っているともいえる顔も、まるでくすんだ様に真黒である。一体どれくらいの間彷徨っていたのか判断しかねる状態であった。

「む〜、一週間徹底的に探したのに見つからないとなると……ここにはいないと判断していいかもね〜」
どうやら一週間、ずっと森の中を……って、ん? い、一週間?
「まぁまだ探してない場所もあるし、一旦町に戻って、今度は二週間頑張って探してみよう! ガンバロー、オー!!」
と、そんな独り言を大きく叫び、ものすごい勢いで南下していってしまう少女。
……一週間徹底的にってことは、一週間の間ずっと何かを探して森を歩いていたと、そういう意味にも捉えられ……?
…………いやまさか、ねぇ……そんなことは、ないと……信じたい、なぁ〜……。は、ははは……。


………………。
は、果たして彼女は、一体何者なのだろうか……?
 

 

 

〜to be continued〜

 


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